「今、やりたいこと」

もし、後一週間の命を宣告されたら、あなたは何をしたいですか?

日本中を旅行したいですか?
おいしいものを腹いっぱい食べたいですか?
初恋の人にもう一度会いたいですか?
・・・と考える前にたぶん絶望の中、死を迎えることになるでしょう。

先日、ある身内のお葬式に出席させていただいたときに素敵な一人の女性の生き様に感動いたしました。
その方は、亡くなる前に、身内の方全員に宛てた手紙と思い出の写真の入った形見の包みを用意してあり、それが葬儀の際に配られたのです。

あなたなら、どうしますか。



「死に様」の話し

2007年度の癌での死亡者数は、約38万人。
そのうち男性が約22万人で女性が約16万人です。
また、これは、全死亡者数108万人の約35%にあたります。
ちなみに、癌の種類で言うと第1位は肺癌 2位胃癌 3位大腸癌 4位肝臓癌 5位膵臓癌と続きます。

現在の医療の問題点として、確かにいかに癌を撲滅するかが問題なのでしょうが、実は医療現場として末期癌患者におけるケアのやり方のほうが早急な課題となっているのです。

医者の立場として、確かに長く生き続けさせることが勤めと考えている方が多いのが事実ですが、これが本当に患者にとって大切なことなのかが重要なのです。

末期の痛みに苦しみながら、病院から出させてもらえず、死んで楽になることさえも許されない。

病人というだけで自分の人生を自分で選択させてもらえない患者の悲痛な叫びは、多くの医療関係者に疑問を投げかけているのではないでしょうか?

 諏訪中央病院では、ロビーに患者の権利をうたっています。

  人格を尊重される権利
  平等な医療を受ける権利
  最善の医療を受ける権利
  知る権利
  プライバシーの権利
  自己決定の権利
 

この六つの権利の中で、特に「自己決定の権利」にのみ説明がついていて「患者さんは、充分な情報と医療従事者の誠意ある説明、助言、協力を得た上で自ら選択し、あるいは拒否する権利を有します。」と記しています。

多くの末期を向えた患者の希望は、自分に家で最後を迎えたいということなのですが、現実は救急時に対応できないということでほとんどがその考え方は拒否されます。

しかし、いま、その希望にこたえようと在宅ホスピスケアを実施しだした病院も多く出てきたことは我々にとって救いではないでしょうか。