チェンマイのお坊さんから教わった「1本の紐」

『ワット・プラタート』

チェンマイ市街から見えるとても優美な山「ドイ・ステープ」の中腹にある、チェンマイで人気ナンバーワンのお寺『ワット・プラート』。先週の土曜日にお参りに行って、お坊さんから右手に「紐」を結んでいただき、マントラを唱えらがら水を全身にかけられた。私には意味など分からなかったが、ただ、今になって何となくこの「紐」の意味が分かるような気がしてきた。

この「紐」は、切れるまでそのまま右手にしていなければならないと知人に聞いていた。本来ありがたいお守りなのだろうが、慣れない私には正直少し苦痛になってきた。お風呂に入るにも、水洗いをするにもどうしてもこの「紐」の存在が気になる。いっそ切ってしまった方がとバチ当たりな事も考えたりしたが小心者の私にはできるわけはなく・・・。

そして、今日になって段々この「紐」の意味が分かってきた。ただ単に「お守り」としてだけではなく、「多くの縁の中に自分が生かされている」という事を常に感じるもの。「紐」は縛るものではなく、「縁」の証であることを。そう思うとこの「紐」がとても愛おしく感じてきたのである。考えてみれば、お坊さんが目の前にきた誰とも分からない参拝者全員の右手に(女性は、触れないので左手に置くだけだが)一人一人しっかりと紐を結びつけていく姿勢は、今の自分にはとても考えさせられる光景であった。